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通勤で夢中になれる文庫本ブログ
Category: 海外小説 — written by tsujio 09.07.31.(金) 07:00

キングが書く“ふつう”の小説『スタンド・バイ・ミー』

スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

著者/訳者:スティーヴン・キング Stephen King 山田 順子

出版社:新潮社( 1987-03-25 )

定価:¥ 780

Amazon価格:¥ 780

文庫 ( 434 ページ )

ISBN-10 : 4102193057

ISBN-13 : 9784102193051



 4つの中編を集めた『Different Seasons』から「秋・冬」2作を収録したのが本書。
 おなじみ『スタンド・バイ・ミー』は「秋編」で原題は『The Body』(死体)、「冬編」として『マンハッタンの奇譚クラブ』(原題『The Breathing Method』)が収録されています。

スタンド・バイ・ミー

 ちゃ?ちゃー♪ちゃらちゃ?ちゃー♪のベン・E・キングでお馴染み映画版『スタンド・バイ・ミー』。
 何度も再放送されていますが通して観たことはなく、“少年たちの甘酸っぱい話なんだろうな”ぐらいに思っていました。
 線路走ったり。

 映画版は知りませんが、小説版は「作家になった主人公が当時の冒険を振り返る」という形で書かれています。
 キングが書くホラー作品(とは思わないですが適当な言葉がみつかりません)以外の小説は面白いのかと興味がありました。
 読み終えましたが“『IT』や『ミザリー』、『シャイニング』、『ダークハーフ』のような「ホラー作品」のほうが好き”です。

 こういう小説は“自分が過ごした少年時代のノスタルジー”が思い出されて“いいなぁ”となるんでしょうが、国が違えばノスタルジーも違うということで日本人のぼくには共感できない部分も多かったです。
 映画は映像で「アメリカのノスタルジー」を見せてくれるので日本人でも共感できヒットもしたんじゃないでしょうか。

 キングは場面や人物の細部を(独特の形容で)細かく書くので、場面や登場人物をイメージしやすいです。
 この作品でも頭の中にリアルな(思いこみの)情景が浮かぶのですが、異常な、超常的なイメージをリアルに浮かばせてくれるほうが面白いです。
 『マンハッタンの奇譚クラブ』のほうがキングっぽい感じ。

 読後感も「ふーん」という感じで、中編という長さもありますが「がっつり読んだ」満足感はなかったです。

 四人いる少年の中でも、ドラッグのオーバードーズで死んだ故リバーフェニックスが演じたクリスがすごく大人に描かれていて魅力的です。

マンハッタンの奇譚クラブ

 作品全体が石造りのヨーロッパな感じです。ゴシックというか。
 冬編なので当たり前ですが、「ヨーロッパの冬」という重たい雰囲気です。舞台はニューヨークですが。

 このクラブで語られる話とこのクラブ自体が作品のテーマです。

 “『スタンド・バイ・ミー』のおまけ作品”くらいにしか思っていませんでしたが、意外や意外、楽しめました。

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Category: エッセイ — written by tsujio 09.07.30.(木) 07:00

『プリンシプルのない日本』

プリンシプルのない日本 (新潮文庫)

著者/訳者:白洲 次郎

出版社:新潮社( 2006-05 )

定価:¥ 500

Amazon価格:¥ 500

文庫 ( 295 ページ )

ISBN-10 : 4101288712

ISBN-13 : 9784101288710



近年注目され、2009年9月にNHKでドラマも放映される白洲次郎。本書はいろいろな場所で発表された白洲次郎の文章を一冊にまとめたものです。
“日本で一番最初にジーンズを穿いた男”としても知られ、その姿はジェームスディーンのよう。

風の男 白洲次郎 (新潮文庫)

著者/訳者:青柳 恵介

出版社:新潮社( 2000-07 )

定価:¥ 420

Amazon価格:¥ 420

文庫 ( 220 ページ )

ISBN-10 : 4101227217

ISBN-13 : 9784101227214


とにかく怒ってる白洲次郎

 とにかく怒っています。ぷんぷん怒ってる。
 何に対してそんなに怒っているかというとズバリ「日本人」に対してです。
 政治外交の内幕のエピソードを通じて「日本人とは」を問題提起しているように思います。
 「日本は五流文化の国」と書いていた小林信彦の日本人観とも通じるところがあると思いました。

 「?集団レイプする人はまだ元気があるからいい」と犯罪級の暴言を吐いた太田 誠一が国会議員だったり、G7で泥酔してた中川昭一が財務省大臣だったり。中川元大臣は言わずもがな、太田誠一の発言もBBCCBSに取り上げられ日本のバカさを世界に知らしめています。
 それはともかく太田誠一はみごとに“悪代官”の顔してますねぇ。マンガみたい。
 どんな理由があるにせよ、こういう「アレ」な人たちを選挙で当選させてしまうのが日本の国民性なのかと思いました。

 この本を読み「日本も日本人もホントに駄目なんじゃないかと思った」と友人に漏らすと、「それは白洲次郎が日本を好きだから言っている」と。
 なるほど確かにそうだと思いますが、それ以上に“日本は大丈夫なのかな”とこの本を読んで感じてしまうのです。

 みなさんはどう思うでしょうか。

育ちがスゴイぜ白洲次郎

 吉田茂の側近だったということで、日本史で勉強した名前がズラリと出てきます。
 生い立ちをざっと読んでみて、「こういう人を“上流階級”ていうんやろな」と思いました。
?こういうのがホントの「セレブリティ」なんでしょうね。

 “イギリスの伯爵の息子と外車でヨーロッパ大陸旅行”って。
 あの時代に。まさに「住んでいる世界が違う」。
  

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Category: ノンフィクション — written by tsujio 09.07.28.(火) 21:29

『超読書法』

「超」読書法 (文春文庫)

著者/訳者:小林 信彦

出版社:文藝春秋( 1999-05 )

定価:¥ 480

文庫 ( 301 ページ )

ISBN-10 : 4167256088

ISBN-13 : 9784167256081



 レビューを中心とした「狂乱読書日記」から「面白い本の探し方」「どこで、どういう姿勢で読むか?」などの“本の読み方”、「マディソン郡の謎」まで本読みには読み応え充分な一冊。

立花隆とは対照的

 「ドストエフスキーを読んでみよう」と『罪と罰』を買ったのもこの本を読んだのがきっかけです。
 それというのも「やっぱ名作と言われてるものは読んどかなあかんなぁ」とこの本を読んで思ったからです。
 あとブームになったとしてもすごく売れた本。
 『優駿』めっちゃおもしろかったしなー。
 売れるにはそれだけの理由があると言うことで。そんなわけで『東京タワー』も今さら手に入れました。

 立花隆は『僕はこんな本を読んできた』の中で“小説は所詮ひとまとまりのウソ”と書き、文中で紹介されていたのも殆どドキュメントやルポタージュだったのは読書本として対照的です。

谷崎潤一郎が好きらしい

 “谷崎が死んでから純文学への興味が無くなった”というほど谷崎純一郎には傾倒していたようです。本著にも「谷崎潤一郎をめぐる知的な冒険」という項目があります。
 ぼくは『痴人の愛』でそのバカらしさがすごく好きになっていたので興味深く読めました。
 本著で「名作」とされている『瘋癲老人日記』も読んでみたいです。

読みたい気になる

『本の雑誌』にも寄稿し椎名誠が“信頼のおける本読み人”とエッセイで書いているとおり、「これ読んでみようかな」という気にさせられます。

そして怒っている

日本の政治に怒り、マスコミに怒り、日本を“五流文化の国”と断じる。本の読み方以外のところもおもしろく読めました。

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Category: 小説 — written by tsujio

『甘い関係』は後味さっぱり

甘い関係 (文春文庫 た 3-2)

著者/訳者:田辺 聖子

出版社:文藝春秋( 1975-01 )

定価:¥ 530

文庫 ( 412 ページ )

ISBN-10 : 4167153025

ISBN-13 : 9784167153021



 大阪で共同生活をする三人の女性それぞれの物語。

読み応えは正直ございませんでした

 宮本輝が書く大阪弁はやわらかく優しい感じがしますが、田辺聖子の大阪弁はベチャっとしてます。昔のおっちゃんおばちゃんが使ってるような。
 物語はすんなり読めますが特に何も残らなかったです。
 主人公は3人の女性ですが、それぞれイマイチ感情移入出来ないんですよね。登場人物の表面をサーっとなぞっているだけというか。

 「田辺聖子といえばこれ!」というおもしろ作品があるんでしょうね。
 田辺聖子の名前をこれだけ有名にした。

 読んでみたいです。

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Category: 小説 — written by tsujio 09.07.27.(月) 07:00

『みな殺しの歌』が皆殺しすぎる件について

みな殺しの歌 (徳間文庫)

著者/訳者:大薮 春彦

出版社:徳間書店( 2007-02 )

定価:¥ 700

文庫 ( 411 ページ )

ISBN-10 : 4198925534

ISBN-13 : 9784198925536



 ’61年刊行、大藪春彦が26歳だったときの作品です。『凶銃ワルサーP38』へと続き、映画化もされています。

「みな殺しの歌」より 拳銃よさらば! [DVD]

販売元:東宝( 2006-07-28 )

定価:¥ 4,725 ( 中古価格 ¥ 2,480 より )

Amazon価格:¥ 1,522

時間:87 分

1 枚組 ( DVD )


そない殺さんでもええんちゃうの

 というくらい殺します。タイトルに偽りなし。『野獣死すべし』を読んだときも感じましたが、この文体はもはや「様式美」ですね。

 ひとつ気になった表現が。銃を持った登場人物(主人公も脇役も)が“この銃にたっぷり血を吸わせてやるぜ”みたいなことを何度も言うのですが、“銃が血を吸う”イメージが出来ません。

 これが「刀」だったらわかるんですが。直接相手の身体や血に刀が触れますから。ああ吸ってるね、と。
 でも銃から“飛び出した弾”は血を吸うでしょうが銃自体はよっぽど至近距離じゃないと血がかからないんじゃないでしょうか。

 ですからこの場合単純に「おれのマグナム弾に血を吸わせてやるぜ」もしくは「この銃から飛び出した弾にたっぷり血を吸わせてやるぜ」となるのが正しいのではないでしょうか。
 「おれのマグナム弾」はマズいですね。

あいかわらず無茶苦茶

 主人公は言うに及ばず登場人物の行動・言動も理解を越えています。『野獣死すべし』を読んだときはその無茶苦茶さが新鮮ですごく面白かったのですが、2作も同じようなのを読むと・・・。ちょっと食傷気味。
 なんでもそうだと思いますが、この本も暴力を追求しすぎた結果ギャグの域までいってしまっていると思います。
 終盤は笑えないコントを読んでいる気分でした。

想定される読者

 どういう人が読んでいるのか。あの三島由紀夫が読んでいました。熱烈な読者だったそうで。なんだかまんまな気がしますが。

大藪春彦という人

 早稲田大学在学中に書いた『野獣死すべし』が江戸川乱歩に絶賛されデビューした、という経歴もすごいですね。
?それよりも注目すべきは

狩猟が趣味であった。猟犬を単なる道具としてしか考えておらず、愛犬家だった西村寿行と酒の席で口論になったこともある

の箇所です。
「猟犬を単なる道具としてしか考えておらず」って。大藪春彦の書く主人公とおんなじやん。大藪春彦はハードボイルド作家ですが、春彦自身がハードボイルドなんですね。銃もバンバン撃ってたみたいだし。

次読むとすれば

 後期の作品です。『野獣死すべし』も『みな殺しの歌』も初期の作品なので同じ印象を受けるのかも知れません。
 後期の作品も同じならもう読むこともなくなると思います。

 にしても銃の描写が細かいですねぇー。銃自体の。「ハードボイルドといえばしつこいくらいの細部描写」と思っていますが、それにしても細かい。

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