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通勤で夢中になれる文庫本ブログ
カテゴリー: 雑誌や新聞、フリーペーパー — written by tsujio 09.07.24.(金) 07:00

『ミニ朝日新聞』とはなんぞや

帰宅途中JR大阪駅でこんな物を見つけました。(クリックで拡大)
ミニ朝日新聞
 折りたたんだ状態のものが壁一面に貼り付けてあったので、一部べりッとはがしてきました。

 捨てたオビには“過去の記事を書き直した物だよ”というようなことが書いてありました。

電車で読みやすいサイズ

 それを目的に作ってあるので当たり前っちゃあ当たり前ですが、読むのに邪魔にならないサイズです。B5版より0.5回り大きい感じ。
 むかし新聞を取っていたとき、通勤電車で読もうとしましたがバリバリガサガサ周りに気を遣って拡げるのがどうしても出来ずすぐやめました。

 今日の電車は少し混んでいましたが気にせず拡げることが出来ました。
 新聞を読まなくなっているのにはそのサイズによるところも大きいのでは無いでしょうか。

 邪魔ですもん。持ち運ぶのにはでか過ぎるし外で読むにも拡げる場所さがさなアカンし。

ちょうど良い分量

 全部で8ページと通勤片道に読み切るにはちょうどいいです。ちなみにぼくは電車に片道15分?20分乗ります。

内容もちょうど良い

 内容も過去の要約とのことですが知らないことがほとんどで、おもしろく読めました。
??新聞を取らず情報はネットからばかりになりだいぶ経ちますが、久しぶりに読んだ新聞は新鮮でした。
 「読みやすさ」や閲覧する側がケータイだったりパソコンだったりするので仕方が無いですが、ネットの記事はほとんどが文字で画像は1?2枚です。

 その点新聞は文章量も多く判りやすく説明できますし、画像・グラフなども効果的な場所に配置できます。

 それと文体が、これは“新聞文体”とでも言うんでしょうか、判りやすいけど軽くなく、構成もビシッとしているので理解しやすいです。
 新聞離れが進んでいる昨今ですが、紙媒体のメリット・魅力を感じた出来事でした。

 再編集でもなんでもいいからこういう過去の“ベスト記事”をまとめたちっさいダイジェスト新聞を出してくれたらいいのに。
 一部50円くらいで。買いますよ。

 ぼくが一番気になったのは「教育」ページに載っていた「あめだまを食べて声が変わった『あめだまをたべたライオン』(フレーベル館)」です。
 読んでみてー どんな声にー ?

あめだまをたべたライオン (おはなしえほんシリーズ)

著者/訳者:今江 祥智

出版社:フレーベル館( 2008-02 )

定価:¥ 1,260

Amazon価格:¥ 1,260

大型本 ( 29 ページ )

ISBN-10 : 4577033194

ISBN-13 : 9784577033197


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カテゴリー: 小説 — written by tsujio 09.07.23.(木) 07:00

あまりに悲惨な『八甲田山死の彷徨』

八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)

著者/訳者:新田 次郎

出版社:新潮社( 1978-01 )

定価:¥ 540

Amazon価格:¥ 540

文庫 ( 331 ページ )

ISBN-10 : 4101122148

ISBN-13 : 9784101122144



明治35年の八甲田山雪中行軍の演習中に210名中199名名が死亡するという、『八甲田雪中行軍遭難事件』をテーマにした小説。この本を原作に、’77年高倉健主演で映画化されています。

 「八甲田山」といえば高倉健が吹雪のなか軍服を着て行進している映画のイメージしかありませんでした。

 くしくも北海道・大雪山系での遭難事件が相次ぐ中、雪山の恐ろしさを改めて感じました。
 
 読み終えて事件の全容を理解すると共に、当時の日本軍はなんて無謀なことをしたのかと思いました。『海と毒薬』(遠藤周作)の米国人捕虜生体解剖実験と同じ種類の残酷さを感じます。
 神風特効や人間爆弾「桜花」、さらには人間魚雷「回転」なんていう狂った平気を作った当時の日本軍についても考えてしまいます。
 人間魚雷はイタリアやドイツでも開発され実戦配備されていたとあるので、やはりその時代が狂っていたんでしょう。
 
  この本で描かれる遭難から死に向かう様は悲惨で、フィクションとはいえ気象学者でもある作者の説得力ある描写とも相まりその凄惨さは迫力があります。読んでいると電車の冷房を寒く感じたり。感じなかったり。
 

「寒い。わーわー」と奇声を発し始める女性も出た(asahi.com)

  という文字通り息が詰まる感じは、この作品で隊員が力尽きていく場面でも感じました。やはり同じように発狂しています。寒さは人を狂わせる。
 「的確な判断を出来ない人に生死を預けてしまった」という点が今回の事件と共通しています。

 “隊員がこの地点で力尽きたよ”マップ付き。

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カテゴリー: 小説 — written by tsujio 09.07.22.(水) 07:00

『天使に見捨てられた夜』で茹であがる

天使に見捨てられた夜 (講談社文庫)

著者/訳者:桐野 夏生

出版社:講談社( 1997-06-12 )

定価:¥ 680

Amazon価格:¥ 680

文庫 ( 422 ページ )

ISBN-10 : 4062635232

ISBN-13 : 9784062635233



 私立探偵ミロ・シリーズの第2弾です。ハードボイルド探偵小説。

おもしろく一気に読める

 サスペンスとして読み終えたあと、オビに「ハードボイルド」と書いているのに気づきました。
 「言われるとそうかも」という感じでしたが、サスペンスとハードボイルド、どっちでもいい気がします。
 おもしろく一気に読めました。良いのも悪いのも脇役も登場人物はキャラが立っており、物語に入り易いです。いちばん良かったのは主人公の行動に「なんでやねん・・・」というつっこみを入れずに済んだことでした。
 一気に気持ちが離れてしまいますからね。

 描かれている事件はなんだか「いやーな」後味の悪いものでしたが、それがいかにも現在の犯罪ぽくリアリティがありました。

 通勤時間を短く感じること請け合いです。

 ちなみに私立探偵ミロ・シリーズ第一弾『顔に降りかかる雨』は’93年度の江戸川乱歩賞を受賞しています。

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カテゴリー: オススメ本, 海外小説 — written by tsujio 09.07.21.(火) 07:00

残ページを確認しながら『ストリート・キッズ』を読む

ストリート・キッズ (創元推理文庫)

著者/訳者:ドン ウィンズロウ

出版社:東京創元社( 1993-11 )

定価:¥ 1,155

Amazon価格:¥ 1,155

文庫 ( 512 ページ )

ISBN-10 : 4488288014

ISBN-13 : 9784488288013



 「プロの探偵に家業のイロハをたたき込まれた元ストリート・キッドが、ナイーブな心を減らず口の陰に隠して、胸のすく活躍を展開する」(背表紙ママ)

ストリート・キッズをオススメする4つの理由

主人公が魅力的

 主人公のニール君がとても魅力的です。なんとなく表紙の絵に惹かれ買いましたが大当たりでした。同じく表紙に惹かれて買った人も多いみたいですね。
 最初の数ページで不幸な生い立ちが頭にインプットされるので、その後の軽妙な会話もなんとなく切ないです。
 ニール君への感情移入もスムーズでページを繰るスピードも速くなります。
 508ページと厚めの文庫本ですが、「アッ!・・・」という間に読み終えました。

会話が楽しい

 主人公を含め思わず“ニヤリ”としてしまうやりとりが多く面白いです。いちいち洒落が効いているというか。こういう会話がポンポン出るので読んでいてリズムが出ます。

展開に強弱がある

 このように読んでいて楽しいところは楽しくシリアスなところは徹底的にシリアスに描かれているため、読むリズムが出てどんどん話に引き込まれていきます。読んでいて「気持ちいい」というか。
 出社前に読むと続きが気になって仕事が手につかず何も仕事してないのに定時退社すること請け合いです。

文章は上手だと思います

 訳者(東江一紀)の文章力に寄るところも大きいと思いますが、会話は言うまでもなく場の状況や心理描写もスムーズです。

登場人物よりドン・ウィンズロウ(作者)のキャラが強すぎ

 マフィアが自分の赤ちゃん(人質ではありません)を背負って微笑んでいるような写真が載っていますが、作者の経歴もすごいです。

  • 俳優
  • ディレクター
  • 教師
  • 記者
  • 劇場支配人
  • 研究員
  • 臨時雇いの覆面警官
  • フレンチ・ドレッシングの大桶にケチャップをぶち込む係
  • そのドレッシングの配達係
  • どさ回りのボードビル劇団でブリキの横笛を吹いたり取り落としたりする役
  • テロリスト対策シミュレーションでの“人質”役

を経験しており、現在は「調査員兼作家兼サファリ・ガイド」。
アフリカ史の学士号と軍事死の修士号を持っているそうです。

 マジメなのかふざけているのか判りませんが、本作は「イギリス国防省の調査活動でロンドンにいたとき、背中の骨を折って、長い入院生活を送ることになり、それが記録的に暑い夏だったので、時間つぶしと現実逃避のためにストーリーを練り始めた」んだそうです。「特に取材をしたわけでもなく、自分の体験をもとに書いた」とも。

 真偽はともかく、人を喰っているのは間違いなさそうです。

 たまたま手に取った本がこれだけ面白かったのはホントにラッキーでした。
 ぜひ一読ください。

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カテゴリー: オススメ本, 小説 — written by tsujio 09.07.15.(水) 07:51

無条件にお勧めしたい『青が散る』

青が散る〈上〉 (文春文庫)

著者/訳者:宮本 輝

出版社:文藝春秋( 2007-05 )

定価:¥ 490

Amazon価格:¥ 490

文庫 ( 318 ページ )

ISBN-10 : 4167348225

ISBN-13 : 9784167348229



青が散る〈下〉 (文春文庫)

著者/訳者:宮本 輝

出版社:文藝春秋( 2007-05 )

定価:¥ 490

Amazon価格:¥ 490

文庫 ( 322 ページ )

ISBN-10 : 4167348233

ISBN-13 : 9784167348236



大学を舞台にする青春小説。TBSでテレビドラマ化もされています。主役は若き日の石黒賢。

一気に読み終える

 残りページの厚みを左手で確かめながら“もうこれだけしか残ってない”のが判ったときは哀しかったです。
 読んでいる最中は物語にどっぷり浸りページを繰るのが早くなり、読後は思わず“あーおもしろかった・・・”とひとりごとがボソッと出てしまうくらい夢中で読み終えました。
 宮本輝はメジャーなので読むのは気後れしていましたが、この作品のあとは片っ端から読むようになりました。
 有名になるのはそれなりに理由があるのをしみじみ感じました。

魅力的な登場人物

 それぞれがすごく魅力的です。“あーおるおるこんな嫌なこと言うヤツ”“おるわこういう言い訳して逃げるヤツ”と感じるシーンがたびたび有り、登場人物の行動や言動に引き込まれます。宮本輝はホントによく人間観察しているなぁと思いました。感情の機微とか、本当に細かくてリアルです。

 あまりに登場人物に現実感があり、作者が実際過ごした大学が舞台なので“実際にあったことを登場人物も含めてそのまま回想して書いただけちゃうんか”と思いましたが「あとがき」に「よくそう言われるがこれはフィクションです」とありました。
 たしかにこう特殊な人生を背負った人たちが一カ所に集まることもないか、と納得したのを覚えています。
 それぞれキャラ強すぎるし。

かぐわしき青春の香り

 大学時代を無目的に過ごしてしまったぼくにとって、主人公達の大学生活から感じる若さや行動力、溢れるエネルギーはとても羨ましく感じました。
 “おれもこんな大学生活送りたかった”と夕暮れが差し迫る街並みを電車からひとり眺めながら猫背になるのでした。
 いーいなーいーいな、せーいしゅーんっていーいーなっ♪
 と『日本昔話』のエンディング替え歌をせずにはいられないくらい素晴らしいです。
 “一つのことに真剣に打ち込んだ経験がその人の人格を形成する上でものすごく大きいんだろうな”とあいまいな人生訓まで読み取ってしまう始末。

とにかく一読を

 ”やっぱり小説なんて作り話よりノンフィクションのほうがリアルで面白い。事実は小説より奇なりと言うし。より説得力のある非日常を感じるにはノンフィクションがいい”
立花隆が“小説はしょせんひとまとまりのウソ”なんて書いていたのをそのまま鵜呑みにしていました。

 小説が好きな人は「アラを探してやろう」「矛盾をついてやろう」なんて気持ちで読んでいるわけではなく、むしろ「積極的に騙してほしい。でも明らかにウソと判る話はやめてね。シラケるから」という気持ちで本をレジに運ぶのではないでしょうか。
 読んでいる間だけでもそれを「本当のこと」と信じさせてくれれば。

 でもこれだけ面白けく夢中になれればそれが作り話でもウソでも、そんなことはどうでもいいです。
 しつこいですが是非一読を。

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