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通勤で夢中になれる文庫本ブログ
Category: 小説 — written by tsujio 09.07.14.(火) 07:00

『愛の矢車草』

愛の矢車草―橋本治短篇小説コレクション (ちくま文庫)

著者/訳者:橋本 治

出版社:筑摩書房( 2006-02 )

定価:¥ 735

文庫 ( 295 ページ )

ISBN-10 : 4480421912

ISBN-13 : 9784480421913



 『桃尻娘』でおなじみ橋本治の愛の短編集。

『桃尻娘』で期待していただけに

 んー読後なにも残らなかったです。
 原因を考えると、

  •  『桃尻娘』がおもしろすぎたために過剰に期待してしまっていた
  • 橋本治のたんたんとした文体がエピソードに合ってないように感じた
  • 短編集は苦手です

 大学の図書館で読んだ『桃尻娘』は著者近影にあるようないかついおっさんが書いたとは思えないくらい繊細でおもしろく、一気に読んでしまいました。その経験があるだけに過剰に期待しまったのかもしれません。
 なんだかションボリ。

 登場人物が女の子で、女の子ぽい生活の雰囲気を出すには橋本治の文体はすごく合っていると思います。

 ぼくは余り短編集が好きでないのと、この本に書かれているエピソードに共感出来るものがなかったのが全部かな。

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Category: 小説 — written by tsujio 09.07.13.(月) 07:41

『硝子のハンマー』は見えにくい

硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)

著者/訳者:貴志 祐介

出版社:角川書店( 2007-10 )

定価:¥ 780

Amazon価格:¥ 780

文庫 ( 604 ページ )

ISBN-10 : 4041979072

ISBN-13 : 9784041979075



 『青の炎』で高校生の完全犯罪を描いた貴志祐介が、オフィス街での完全犯罪を描いたミステリー。

やはりよく調べている貴志祐介

 「あとがき」でも書かれていますが、ほんとによく調べているなぁ。取材魔ですね。『ゴールデンスランバー』の薄っぺらい描写と違い、細部まで詳しく描かれており説得力があります。
 それでも腑に落ちないところが残るのはなぜなんでしょう。おもしろいんだけど。

楽しめるんだけど

 「おもしろい」か「つまらない」かでいうと、おもしろかったです。
 ストーリーもテンポ良く進むし途中ダレる箇所もないし。
 でも「ものすごくおもしろい」かというと「うーん」と止まってしまいます。夢中で読み終えた本に感じる読後の余韻というか開放感というか充実感というか、そういうものは感じなかったです。
 『青の炎』を読んだあとの「やるせなさ」とも違うし。「よく出来たはなし」というのが近いでしょうか。

貴志祐介の描く女性

 作品すべてを読んだわけではないですが、“芯のつよい”人が多いと思います。この作品の主人公も女性です。
 脇役の登場人物も魅力的に描かれています。

楽しめる佳作だとおもう

 ミステリー好きな人が読むとまた違った感想になると思いますが、「楽しめる佳作」というのがぼくの感想です。なんだか偉そうですが。
 “優等生だけどちょっとおもしろみにかける”というか、安心して読み進められるのでハラハラしないというか。

 良い作品なんですけどねぇ、と最後までウダウダ煮え切らないまま終わりたいと思います。

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Category: オススメ本,小説 — written by tsujio 09.07.08.(水) 07:51

『野獣死すべし』で抱腹絶倒

野獣死すべし (光文社文庫―伊達邦彦全集)

著者/訳者:大薮 春彦

出版社:光文社( 1997-01 )

定価:¥ 620

Amazon価格:¥ 620

文庫 ( 363 ページ )

ISBN-10 : 4334723489

ISBN-13 : 9784334723484



 言わずと知れた大薮 春彦の代表作。松田優作主演の映画も有名です。

思わず吹き出してしまうおもしろさ

 まず、映画版の主演が松田優作ということでもわかるようにハードボイルドです。真剣な作品です。けっしてコメディではありません。
 それなのになぜ何度も吹き出しそうになるのでしょう。
 電車でずっとニヤニヤしてしまいました。

作者の本気度は本宮ひろしに通じる

 読んでいて頭に浮かんだのが『魁男塾』『サラリーマン金太郎』でおなじみ本宮ひろしです。作者の登場人物への無条件な入れ込み具合と無茶苦茶な状況設定がそっくりだと思います。
 荒唐無稽だけど大まじめ。
 主人公の伊達はきっとフンドシをしめています。
 
 ハードボイルドですから主人公は当然いろんなピンチに陥ります。
 
 絶体絶命のピンチ、“あきらかに死ぬやろ”という状況、「どうするんかな」とページをめくると“なんとか切り抜けた”の一言だけで切り抜けてしまいました。
 “それは物理的にムリやろ”という殺人的スケジュール、「さすがにこれはムリやで」とページをめくると“邦夫は超人的にそれをこなした”という一文だけでこなしてしまいました。
 
 作者のこの豪腕振り。漢(おとこ)らしい。
 「超人的に」って自分もちょっとムリがあると思ってるやん。
 
 こんな無茶苦茶な進め方ですが、作者の本気度にグイグイ引き込まれてしまいます。

この描写はいるんか?

 ちなみに主人公に狙われた標的(ターゲット)はほぼ例外なく失禁し、あまつさえ「脱糞」までしてしまいます。

 「脱糞」て。人は生命の危機を感じると脱糞してしまうんですね。逆に括約筋なんかは緊張で締まると思っていましたが。勉強になりました。

 きっと作者は「生理的現象に及ぶ」恐怖を描写しているのでしょうが逆効果です。
 登場人物が失禁する度に「またか!」と大笑いです。「脱糞」までされた日にはたまりません。

作者の立ち位置というか視点というか

 作者が主人公を見る目線や描写する目線はキリストや仏陀、マホメットでも良いですが、「数々の奇跡を起こすカリスマ」の行動を横でノートに記録する従者のようです。
 大藪春彦は主人公の伊達を本気で“すごい”と思っていると思います。心から。
 このイタさがたまらん。

文体に慣れるだけ

 最初は大薮 春彦独特の“ハードボイルド文体(あるんか?)”に馴染めず、“読みにくいなぁ”と思いましたがすぐに慣れました。慣れれば先には抱腹絶倒の世界が待っています。楽しみ方としては間違っているかもしれませんが。

ハマる人はハマると思う

  ぼくが感じるおもしろさは“ここまでバカらしいことを本気で大まじめにしている”おもしろさで、すこし穿った読み方です。多くの方がこの作品に感じる面白さではないかも知れません。
 少なくともこの本を読んで電車で声を出さずに笑う努力をした人も少ない気がします。

 断っておきますが、ぼくは馬鹿にしているのではなく、本気でおもしろい、すごいと思っています。
 なかなかこんなの書ける人いない気がする。入り込める力があるというか。

 すっかり魅了されてしまいましたので、『蘇える金狼』『汚れた英雄』も読んでみよう。

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Category: 小説 — written by tsujio 09.07.07.(火) 07:49

『人間失格』

人間失格 (集英社文庫)

著者/訳者:太宰 治

出版社:集英社( 1990-11-20 )

定価:¥ 270

Amazon価格:¥ 270

文庫 ( 212 ページ )

ISBN-10 : 4087520013

ISBN-13 : 9784087520019



 言わずと知れた太宰治の自伝的作品であり、『デスノート』の小畑健が表紙を描いたことでも話題になりました。
 太宰は本作完成の一ヶ月後に自殺しています。

「人間失格」という強烈な語感

 なんてったって「人間」を「失格」しています。後ろ向きにもほどがあるでしょう。
 表紙の話題性もありましたが、長い期間にわたり売れ続けている(戦後の売り上げは新潮文庫だけでも累計600万部)のは主人公の「悩み」がどの時代にも共通のものだからではないでしょうか。

どこにも、どの時代にも居そうな主人公?

 「自己内省しがちでまわりとの付き合い方がわからない」若者なんてそこいら中に居ると思います。
 そういう人達に“これは自分のことなんだ”と思わせる、「なんておれはダメなんだ・・・」なマイナスパワーに満ちています。
 このダメさも“昼頃起きてパチンコ行って吉牛食って朝までゲームしてる”、という「自堕落」なダメさではなくて、“なんとかしようと思ってるんだけどどうしても出来ない”理不尽なダメさ、一生懸命なダメさというのが共感するところじゃないでしょうか。

太宰が書いた『人間失格』という意味?

 やっぱ「自殺」というのは強いよね。強引に話に引き入れるという意味で。
 じっさい太宰自身が自殺してるし。
 「自殺した太宰治が書いた『人間失格』という小説」というエピソードだけでも「読んでみたい」と思う人はたくさんいると思います。

 話自体は楽しめたし、ラストまでの盛り上げ方もすごいなと思いましたが正直心に残っていないのはなんででしょう?
 失格かな?

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Category: ノンフィクション — written by tsujio 09.07.06.(月) 07:00

『僕はこんな本を読んできた』を読んでみた

ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論 (文春文庫)

著者/訳者:立花 隆

出版社:文藝春秋( 1999-03 )

定価:¥ 540

文庫 ( 375 ページ )

ISBN-10 : 4167330083

ISBN-13 : 9784167330088



 猫ビルでおなじみの立花隆、「ほんの買い方」から「読書日記」、妹尾河童が描く猫ビル内部見取り図まで、本だらけの一冊です。

“これからも本離れは進む”というけれど・・・

 “本が読まれなくなったのは、本離れというより、本が他のメディアに比べてつまらなくなったからだ。これからも映像メディアに押されて本離れは進むだろう”

 を読むと「自分の好きな子をけなされている」感じがしましたが、「うう・・それはそうかも」と納得してしまうような客観的な視点から書かれており、よけい嫌だったりします。

 そのとおり「読書日記」には小説は出てこず、ほとんどがドキュメント・ルポタージュ等のノンフィクションです。
 椎名誠がエッセイで“「小説」なんて「ウソのはなし」を書いているのがむなしくなった”と書いていたのを思い出します。

 「本の買い方」「本の読み方」についても書かれていますが、あくまで「仕事と一般教養のための読書について」であって「趣味の読書について」ではありません。
 
 本を読み終え思いましたが、こういうのを「博覧強記」っていうんでしょうね。
 「へへーそのとおりでごぜぇますぅー」と遠山の金さんに土下座する下手人の気分になりました。

 みんなどんどん本読まなくなるんだろうなー。

気になったノンフィクション本

 傷心の中にもひっかかった本が何冊か有ります。

蛇頭(スネークヘッド) (新潮文庫)

著者/訳者:莫 邦富

出版社:新潮社( 1999-01 )

定価:¥ 620

文庫 ( 362 ページ )

ISBN-10 : 4101300216

ISBN-13 : 9784101300214



おなら考 (文春文庫)

著者/訳者:佐藤 清彦

出版社:文藝春秋( 1998-02 )

定価:¥ 500

文庫 ( 266 ページ )

ISBN-10 : 4167276038

ISBN-13 : 9784167276034



完全自殺マニュアル

著者/訳者:鶴見 済

出版社:太田出版( 1993-07 )

定価:¥ 1,223

Amazon価格:¥ 1,223

単行本 ( 198 ページ )

ISBN-10 : 4872331265

ISBN-13 : 9784872331264



思春期病棟の少女たち

著者/訳者:スザンナ ケイセン

出版社:草思社( 1994-06 )

定価:¥ 1,631

単行本 ( 215 ページ )

ISBN-10 : 4794205562

ISBN-13 : 9784794205568



これでいいのだ―赤塚不二夫自叙伝 (文春文庫)

著者/訳者:赤塚 不二夫

出版社:文藝春秋( 2008-10 )

定価:¥ 600

Amazon価格:¥ 600

文庫 ( 223 ページ )

ISBN-10 : 4167753278

ISBN-13 : 9784167753276



ラムゼー・クラークの湾岸戦争―いま戦争はこうして作られる

著者/訳者:ラムゼー クラーク

出版社:地湧社( 1994-08 )

定価:¥ 3,990

Amazon価格:¥ 3,990

単行本 ( 457 ページ )

ISBN-10 : 488503115X

ISBN-13 : 9784885031151


 きっと「読んでみたい本」が見つかると思います。

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