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通勤で夢中になれる文庫本ブログ
カテゴリー: オススメ本, 海外小説 — written by tsujio 09.08.18.(火) 07:49

アイタタ『ミザリー』

ミザリー (文春文庫)

著者/訳者:スティーヴン キング

出版社:文藝春秋( 2008-08-05 )

定価:¥ 1,000

Amazon価格:¥ 1,000

文庫 ( 530 ページ )

ISBN-10 : 4167705656

ISBN-13 : 9784167705657



 1987年発表のサイコスリラー。1990年にロブ・ライナー監督で映画化もされ、主演のキャシー・ベイツがアカデミー主演女優賞を受賞。

キングの描写力がすごい一冊

痛いけどページを繰る手は止まらない

 痛い描写が多く、眉間にシワを寄せながらも続きが気になってグイグイ読んでしまう。そんな本です。
 キングの細かい描写で、主人公が監禁されている部屋が目に浮かぶよう。

 作家の主人公を監禁するもう1人の主人公、イカれたファンのアニーも実在する人物のようにリアルです。このリアルさが恐い。
 人間は恐いなぁ。
 また、その細かい描写のせいで痛い場面はホントに痛いです。

 伏線が張られたストーリーも説得力があり、“ええっ、そうだったの!?”という「ゾッ」とする展開の怖さもあります。

 キングが主人公に語らせる「小説の書き方」も興味深いです。キングはローレンス・ブロックのように「小説の書き方」の本は出さないんでしょうか。
 いづれ書きそうですが。

 現在のストーカーをもっとエスカレートさせたような登場人物は、20年以上前の作品という古さをまったく感じさせません。
 ぼくは和歌山カレー事件の林眞須美(はやし ますみ)死刑囚を強烈に連想しました。
 おもな登場人物はふたりだけ。キングってすごいな。

 とても痛いけど、とても面白い一冊です。

 オススメ。

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カテゴリー: 小説 — written by tsujio 09.08.17.(月) 07:00

『少年H』で感じた3つのこと

少年H(上) (講談社文庫)

著者/訳者:妹尾 河童

出版社:講談社( 1999-06-09 )

定価:¥ 710

Amazon価格:¥ 710

文庫 ( 478 ページ )

ISBN-10 : 4062645904

ISBN-13 : 9784062645904



少年H(下) (講談社文庫)

著者/訳者:妹尾 河童

出版社:講談社( 1999-06-10 )

定価:¥ 710

Amazon価格:¥ 710

文庫 ( 502 ページ )

ISBN-10 : 4062645912

ISBN-13 : 9784062645911



 作者妹尾河童の戦争体験をもとにした小説。ベストセラーになったあと教科書にも採用されています。
 同時に、“『少年H』は歴史誤認だ”という批判本も何冊か出ています。

『少年H』を読んで感じた3つのこと

 冒頭でも書きましたが“『少年H』は歴史誤認だ”という意見や批判はあるようです。 
 歴史の実際は判りませんので、以下ははあくまでこの本を読んでの感想です。 

 1.戦時中の日本は戦争なんて出来ないくらい貧しい

 2.日本軍とマスコミは国民を騙し続けていた

 3.妹尾河童は子供の頃から知りたがり

 1は、大砲や鉄砲の弾を造る原料として家庭の鍋や釜を供出させたり、道に落ちているくず鉄を小学生に集めさせる貧乏な国が戦争に勝てるわけがないと思いました。

 2、自国民をだまし、人・物・金を搾取し続けた日本軍の指導者達とそれを助長したマスコミの罪は重いと感じます。

 3、『河童が覗いた?』で感じる妹尾河童の知りたがりと行動力は子供の頃からで、「子供時代から変わってないなー」と思いました。

 戦時中、日本人を苦しめていたのは戦争の相手国というより日本軍だったという想いを強く持った次第です。
 根本的にそれは今でも続いているような。軍ではなく政府ですが。

『少年H』への批判について

 戦争を題材としていると、その小説がおもしろいかどうかとは別の部分で攻撃されるんだなと思いました。
 ぼくはこの本を「小説」として読んだだけなので“この部分が史実と違っている、ここも違う!”という意見があり、また実際そのとおりだとしても気にはならないです。
 本当に太平洋戦争のことを知りたければ専門書を読みますし。
 問題になるのは教科書や学校の推薦図書になり「子供が読む」からでしょうね。

小説もいいけどスケッチもね

 妹尾河童の『河童が覗いたヨーロッパ』『河童が覗いたインド』『河童が覗いたトイレまんだら』等のルポは何度も繰り返し読みました。
 天井から見下ろしたスケッチを“よくこんな絵が描けるなぁ”と絵本を読むように楽しんでいました。
 本書でも“小磯良平に絵を見せて云々”という記述があり、「そら上手いはずやな」と思いました。
 一遍が3?5ページなのでトイレやお風呂で読むのにぴったりです。

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カテゴリー: 小説 — written by tsujio 09.08.07.(金) 07:52

言葉を浴びる『バンド・オブ・ザ・ナイト』

バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫)

著者/訳者:中島 らも

出版社:講談社( 2004-02-13 )

定価:¥ 620

Amazon価格:¥ 620

文庫 ( 384 ページ )

ISBN-10 : 4062739860

ISBN-13 : 9784062739863



 2004年2月15日に文庫本第1刷発行、同年7月26日中島らも他界。
 笑えない中島らもの本。

中島らもが「アウトロー」なのはマジだった

 『明るい悩み相談室』『ガダラの豚』『ビジネス・ナンセンス事典』『寝ずの番』・・・中島らもは大好きで多く読んできましたが、この作品はそれらとテイストが違う小説です。
 『頭の中がカユいんだ』と『今夜、すべてのバーで』を足して2で割らずに酒樽に漬け込んだような小説です。

 中島らもが自著の中で“ヒッピーだった”“ジャンキーだった”“咳止めシロップでラリる云々”とたびたび書いていますが、なんだかこの本はいつものように「ふーん」と流せない感じです。
 だってこの本で語られる中島らも及びその周辺のひとたちはマジで「ろくでなし」なんですもの。

 「LSD」や「ドリデン」や「トルエン」に「ノルモレスト」。「幻覚サボテン」と「マジックマッシュルーム」、およびそれでラリった登場人物の奇態と言動。
 精神病院にスワッピングに毛ジラミにフリーセックスと飛田新地。
 そんな情景が延々と続いていきます。
 
 そんなセックス・ドラッグ・ロックンロールを日本で実践するおそらく事実、もしくはそれに近いことをしていたであろう描写にちょっと、いや、おもいっきり“引き”ました。
 読んでダメな人多いだろうなー。

イメージの洪水

 唐突にはじまります。イメージの「詩」みたいなものが。なんの脈絡もなく。最初「なんやこれ?!」と面食らいました。
 何ページにも渡って続くものもあり、“ラリって書いてるんか?!”と思いました。
 言葉のイメージが連鎖していきます。

 幻覚を文字にしたらこんな感じでしょうか。
 文章がラリってます。

ぐっときた

 先述の脈絡のない文章もそうですが、中島らもの「素」を感じます。
 “誰かに読ませること”を前提にしていない気がします。こういうのが中島らもが書く自然な、書きたい文章なのかなと思いました。
 
 だからこそ、該当ページをどうしても見つけられませんでしたが
“自分は本当に表現できる何かがあるんだろうか”
 という箇所にはグッときました。
 ホロり。

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カテゴリー: 海外小説 — written by tsujio 09.08.04.(火) 07:00

『罪と罰』を読んでわかった5つのことプラス1

罪と罰 (上巻) (新潮文庫)

著者/訳者:ドストエフスキー

出版社:新潮社( 1987-06 )

定価:¥ 780

Amazon価格:¥ 780

文庫 ( 488 ページ )

ISBN-10 : 4102010211

ISBN-13 : 9784102010211



罪と罰 (下巻) (新潮文庫)

著者/訳者:ドストエフスキー

出版社:新潮社( 1987-06 )

定価:¥ 820

Amazon価格:¥ 820

文庫 ( 502 ページ )

ISBN-10 : 410201022X

ISBN-13 : 9784102010228



 ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーが1866年に発表した長編小説。

カラマーゾフの兄弟』、『白痴』、『悪霊』、『未成年』と並ぶ、後期五大長編小説の一つでもある。(Wikipedia)

読み切ったぜ『罪と罰』

1.本が立ちます

 『超読書法』を読んで“名作名作、名作を読もう”と息巻いていたのと、目前に迫ったスペイン旅行がアムステルダムで鬼の7時間トランジット(ひとりぼっち)だったので買いました。
 上・下巻あわせてほぼ1000ページで読み応え充分。

2.意外とふつうに読める

 100年以上前の作品ですし、ロシア作家の本は初めてです。
 さぞ違和感があるだろうと思いましたが、いざ読み始めてみると意外や意外すんなり読めました。
 

3.『人間失格』と『罪と罰』と『DETH NOTE』の共通性

 読み始めてすぐ頭に浮かんだのが「『人間失格』で、主人公ラスコーリニコフからはマンガ『DEATH NOTE』の夜神月(やがみ ライト)を連想しました。
 人間失格の表紙を『DEATH NOTE』の小畑健が描いたのもそういうことでしょうか。
 『罪と罰』の表紙も小畑健が描くと売れるかも。

 『DEATH NOTE』の「L」(エル)とおなじ役割をする人物も出てきて、主人公との対決は読み応えがあります。

 ともかく、若者の悩みの本質は古今東西みな同じなんだなと思った次第です。
 『人間失格』に共感する現在の若者が多いように、『罪と罰』に共感する若者も多いんじゃないでしょうか。
 人間の弱さというか苦悩というか。

4.名前が絡まりもつれて固むすび

 主人公の名前は「ラスコーリニコフ」です。でもおかんや友達が呼ぶときは「ロージャ」です。また手紙の中では「ロジオン・ロマーノヴィチ」と書かれ通貨の単位は「ルーブリ」「コペイカ」ですし「1アールシン」は「約70センチ」だということを忘れてはいけません。「アファナーシィ・イワーノヴィチ・ワフルーシン」でひとりの名前です覚悟してください。

 「ロージャ」が「ロジオン」の愛称・呼称だというのはわかります。でも「ラスコーリニコフ」はぜんぜん違うやん。どっから出てきた。
 たとえ「ロジオン・ロマーノヴィチ・ラスコーリニコフ」がフルネームだとしても文中では名前をひとつに統一してくださいお願いします。

 この名前のバリエーションは登場人物、友人や家族にも当然あります。
 だれがだれやら。
 確認のためしょっちゅう前に戻るので、ふつうの3倍はページを繰ったと思います。

 海外作品には必須の「登場人物一覧」が表紙裏にないのが致命的です(新潮文庫)。ま、一覧だけで数ページ要りそうですが。

5.トーンはあくまで重く暗く

 ここでいうトーンは作品の雰囲気です。
 主人公の暮らしは貧しく、石造りの街に質素な家具や服装と相まってふるい白黒映画を観ている感じでした。
 いつも夕方か夜の感じで“ロシアの重い冬”を感じます。
 それが“殺人を起こしてしまった主人公の苦悩”にぴったりです。

(6).オードリー春日との関係性

 オードリー春日がする「へっ!」はここから取ったのか?というくらい登場人物が「へ!へ!」と笑います。
 ロシアに行ったら「へ!」と笑ってください。
 

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カテゴリー: 海外小説 — written by tsujio 09.08.03.(月) 07:00

『トム・ソーヤーの冒険』と欧米人

トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)

著者/訳者:マーク・トウェイン

出版社:新潮社( 1953-10 )

定価:¥ 500

Amazon価格:¥ 500

文庫 ( 332 ページ )

ISBN-10 : 4102106014

ISBN-13 : 9784102106013



 マーク・トゥエイン作1876年発表の世界的名作。舞台はさらに3?40年前の設定。主人公トム・ソーヤーと友達ハックルベリー・フィンの冒険物語。 

 『世界名作劇場』でアニメ化され放送もされていました。
 自分がこどもの頃はそんなに“他人の傷を見たかった”記憶はありません。しかし作品中では

 「いうことをきいたら、足の指の傷も見せてやる」

 というように、「傷を見せること」が「ご褒美」として書かれています。同じような描写は何度か出てきます。
 傷ではありませんが、『スタンドバイ・ミー』の設定も「死体を見に行く」ことでした。
 欧米人のこどもはそんなに他人の傷に興味があるんでしょうか?

 大学時代、多くの留学生が雨なのに傘をさしていなかったことを思い出しました。
 両方ともすごく「動物」を連想します。肉食獣ってかんじ。

 この時代はそうだったんでしょうが、黒人が思いっきり「奴隷」として描かれています。

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