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通勤で夢中になれる文庫本ブログ
カテゴリー: オススメ本, ノンフィクション — written by tsujio 09.12.11.(金) 06:00

息が詰まる『死角―巨大事故の現場』

死角―巨大事故の現場 (新潮文庫)

著者/訳者:柳田 邦男

出版社:新潮社( 1988-07 )

定価:¥ 540

文庫 ( 336 ページ )

ISBN-10 : 4101249083

ISBN-13 : 9784101249087



?ジャンボジェット機、原子力発電所、高層ビル、巨大タンカー、一旦事故が起きると死者数が巨大になる事故をいろいろな角度から分析した一冊。

あまりに凄まじい日航ジャンボ機墜落事故

 「日航ジャンボ機墜落事故」は名前だけ知っていました。過去の重大事件を振り返るテレビ番組などで。
 事故が発生した1985年、ぼくは8歳だったのでリアルタイムの記憶はありません。
 
 「520人死亡」という現実感のない死者数を出した、文字通り「巨大事故」の分析から始まります。

乗客の遺書に胸がつまる

 通勤バスで読み、泣きそうになりました。衝撃でした。

人は極限状況ににおいて、どこまで冷静な判断と行動をとり得るだろうか。

 という書き出しで始まる“「意図せざる遺言」のメッセージ”。
 「乗客たちが墜落する機内で書き残した遺書」というシチュエーション自体強烈です。
 一例を記すと

 大阪商船三井船舶神戸支店長河口博次さんの遺書の最後のところは、こう記されている。
「・・・・・・・・
 ママ こんな事になるとは残念だ さようなら 子供達の事をよろしくたのむ 今6時半だ 飛行機は まわりながら 急速に降下中だ 本当に今迄は幸せな 人生だったと感謝している」
 

 「飛行機は まわりながら 急速に降下中だ」
 この部分を読んだ瞬間胸が詰まりました。

 そういう極限の状況下で書かれた文章は、それ自体非常に重いものです。

事故発生時の状況と分析

 本書を読んだだけでは、“原因は製造元のボーイング社にあるんじゃないの?”と単純に思ってしまいます。
 あれだけの事故、いろいろな要因があると思いますが、明確な原因調査が遺族の再調査依頼に対して行われていないことに疑問を感じます。

搭乗していた、登場予定だった著名人

 多くの有名人が搭乗していたことも話題になりました。

搭乗していた

  • 坂本九(歌手)
  • 北原遥子(女優)
  • 中埜肇(阪神タイガース社長)
  • 浦上郁夫(ハウス食品社長)
  • 藤島克彦(コピーライター、中島らもの師匠)

搭乗予定だった

  • 明石家さんま(タレント)
  • 麻実れい(元・宝塚歌劇団雪組トップスター、女優)

 これを読んだ後にエールフランス航空の447便墜落事故
事故
がありました。

フライトレコーダーを聴く

 本物のフライトレコーダーを基に軌跡をFLASHで起こしたムービーがあります。
日航機墜落までの軌跡
 あまりにリアルなため、視聴後ショックを受けられる方もいらっしゃると思いますが、実際に起こった出来事で、実際に524名の方が搭乗していました。

船の事故

 本書では大型船の航行について、それが海域によってどれだけ危険であるか、と実例を交えて指摘されています。
 最近でも「護衛艦あたご漁船清徳丸衝突事件」や「護衛艦「くらま」と韓国籍貨物船「CARINA STAR(カリナ・スター)」の衝突事故」など、本書の指摘通りの事故が起きています。

 この本は、いままで当たり前すぎて殆ど考えることの無かった「安全」について、真剣に考えさせてくれる一冊でした。

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