『みな殺しの歌』が皆殺しすぎる件について
著者/訳者:大薮 春彦
出版社:徳間書店( 2007-02 )
定価:¥ 700
文庫 ( 411 ページ )
ISBN-10 : 4198925534
ISBN-13 : 9784198925536
’61年刊行、大藪春彦が26歳だったときの作品です。『凶銃ワルサーP38』へと続き、映画化もされています。
販売元:東宝( 2006-07-28 )
定価:¥ 4,725 ( 中古価格 ¥ 2,480 より )
Amazon価格:¥ 1,522
時間:87 分
1 枚組 ( DVD )
そない殺さんでもええんちゃうの
というくらい殺します。タイトルに偽りなし。『野獣死すべし』を読んだときも感じましたが、この文体はもはや「様式美」ですね。
ひとつ気になった表現が。銃を持った登場人物(主人公も脇役も)が“この銃にたっぷり血を吸わせてやるぜ”みたいなことを何度も言うのですが、“銃が血を吸う”イメージが出来ません。
これが「刀」だったらわかるんですが。直接相手の身体や血に刀が触れますから。ああ吸ってるね、と。
でも銃から“飛び出した弾”は血を吸うでしょうが銃自体はよっぽど至近距離じゃないと血がかからないんじゃないでしょうか。
ですからこの場合単純に「おれのマグナム弾に血を吸わせてやるぜ」もしくは「この銃から飛び出した弾にたっぷり血を吸わせてやるぜ」となるのが正しいのではないでしょうか。
「おれのマグナム弾」はマズいですね。
あいかわらず無茶苦茶
主人公は言うに及ばず登場人物の行動・言動も理解を越えています。『野獣死すべし』を読んだときはその無茶苦茶さが新鮮ですごく面白かったのですが、2作も同じようなのを読むと・・・。ちょっと食傷気味。
なんでもそうだと思いますが、この本も暴力を追求しすぎた結果ギャグの域までいってしまっていると思います。
終盤は笑えないコントを読んでいる気分でした。
想定される読者
どういう人が読んでいるのか。あの三島由紀夫が読んでいました。熱烈な読者だったそうで。なんだかまんまな気がしますが。
大藪春彦という人
早稲田大学在学中に書いた『野獣死すべし』が江戸川乱歩に絶賛されデビューした、という経歴もすごいですね。
?それよりも注目すべきは
狩猟が趣味であった。猟犬を単なる道具としてしか考えておらず、愛犬家だった西村寿行と酒の席で口論になったこともある
の箇所です。
「猟犬を単なる道具としてしか考えておらず」って。大藪春彦の書く主人公とおんなじやん。大藪春彦はハードボイルド作家ですが、春彦自身がハードボイルドなんですね。銃もバンバン撃ってたみたいだし。
次読むとすれば
後期の作品です。『野獣死すべし』も『みな殺しの歌』も初期の作品なので同じ印象を受けるのかも知れません。
後期の作品も同じならもう読むこともなくなると思います。
にしても銃の描写が細かいですねぇー。銃自体の。「ハードボイルドといえばしつこいくらいの細部描写」と思っていますが、それにしても細かい。


三島由紀夫が、
なるほどねーー。
男の子ですねぇ