『照柿』は骨太だった
著者/訳者:高村 薫
出版社:講談社( 2006-08-12 )
定価:¥ 680
Amazon価格:¥ 680
文庫 ( 392 ページ )
ISBN-10 : 406275245X
ISBN-13 : 9784062752459
著者/訳者:高村 薫
出版社:講談社( 2006-08-12 )
定価:¥ 650
Amazon価格:¥ 650
文庫 ( 336 ページ )
ISBN-10 : 406275259X
ISBN-13 : 9784062752596
『マークスの山』に続く合田刑事第2弾。
高村薫の取材力はすごいんじゃないか
「ドストエフスキーの『罪と罰』のような作品をお願いできませんでしょうか」と作家に注文して書いてもらったのが『照柿』だった
はじめて読んだ高村薫の作品『黄金を抱いてとべ』は「なんかようわからんなぁ」と思っただけでした。
この作品もあまり期待せず読み始めましたが、下巻に入る頃から俄然おもしろくなってグイグイ引き込まれました。
工場の描写がきもちいい
主人公の一人は工場で働いています。金属の「熱処理」工程を担当しているのですが、作業内容の描写が細かい。
ぜんぜん興味も知識もありませんでしたが、日中でも薄暗く暑い工場内や機械が造る影や油臭さや炎の熱を感じさせる描写はすごいなと思いました。
取材がスゴイ。
これはもう一人の主人公が属する警察も同じで、よく知らないしここで描かれているうちのどれくらいが真実かはわかりませんが説得力はすごくあります。
ドストエフスキー『罪と罰』と似ているところ
上巻を読んだ時点では「どこが『罪と罰』なんや」と思いました。類似点は「デキる刑事」が「和製ポルフィーリー」(ポルフィーリーは『罪と罰』に出てくる検事)と呼ばれているだけで、それもなんだか強引な感じでした。
でも下巻の後半は確かに『罪と罰』してる感じで、『罪と罰』より盛り上がりを感じました。
高村薫の固い文章について
「?なのだった」と突然挟まれる大仰な語尾と「え?電話で話してるのは“妹”と“妹の亭主”のどっち?」というようなわかりにくい箇所もあります。
最初はいちいちひっかかって「読みにくいなぁ」と思いましたが、下巻に入る頃には気にならなくなりました。
固い、男らしい骨太さを感じる文章でした。ゴリゴリしてます。
高村薫のハードカバーと文庫版
これも『あとがき』にありますが高村薫は文庫版を出す際はおもいっきり手を入れるそうです。作品によってはハードカバー版とまったく別の文庫版が出来上がるそうで。
下巻の最後のページにも
本書は一九七七年七月に小社より刊行された作品を、大幅改稿し分冊した下巻です
という断り書きがあるほど。
『黄金を抱いてとべ』でもう高村薫は読まないだろうなと思っていましたが、この作品を読んでもう一冊読みたくなりました。

