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通勤で夢中になれる文庫本ブログ
Category: 小説 — written by tsujio 09.09.07.(月) 07:48

なんだか迫力『串刺し教授』

串刺し教授 (新潮文庫)

著者/訳者:筒井 康隆

出版社:新潮社( 1988-12 )

定価:¥ 460

文庫 ( 274 ページ )

ISBN-10 : 410117122X

ISBN-13 : 9784101171227



 最も完成度の高い短編小説に贈られる川端康成文学賞。’85年の最終候補まで残った作品。

[『きつねのお浜』と『妻 四 態』

 電車の中で「ニヤリ」としてしまったのがこの二編です。
 
 読んでいて、“この本が発行された時代は「活字」にまだまだ力があったんだろうな”と思いました。
 ある意味“実験的”なこの本が発行されていた時代のふところの深さを感じます。
 「若い人から年配の人まで、みんな本読んでたんだろうなー」と思わせるような。

 本を読む人が少なくなった現代ではこういう本は出版されないんじゃないのかな。

筒井康隆の初体験

 マスターベーションをしている男子高校生がオルガスムスに達する瞬間テレポーテーションしてしまう短編、『郵性省』。

 そのあまりにもバカらしい短編に笑った記憶は10年以上経った今でも覚えています。
 久しぶりに読む本作には17編の短編が収められていましたが、基本的に何も変わってませんでした。

 無茶苦茶で、下品で、くだらなくて、勢いがすごくて。
 この本で感じる迫力は、筒井康隆の「鬼気迫る」、とでもいいたくなるような文章に対してです。
 テーマはほんとくだらないことが多いんですが、それを構成する力と勢いのある文章でどんどん読んでしまいます。
 
 筒井康隆は短編が多いので、電車の中で読むにはぴったりです。
 

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Category: 小説 — written by tsujio 09.09.03.(木) 07:00

やっぱり村上龍だった『メランコリア』

メランコリア (集英社文庫)

著者/訳者:村上 龍

出版社:集英社( 2000-09-20 )

定価:¥ 440

Amazon価格:¥ 440

文庫 ( 240 ページ )

ISBN-10 : 408747237X

ISBN-13 : 9784087472370


 ひとつの「事件」が三人の語り手によって異なる視点から語られる、『エクスタシー』『メランコリア』『タナトス』と続くシリーズの第二部。

書いたもん勝ちかっ

 殆どの人がコカインもヘロインも吸った経験なんてないじゃないですか。
 そんななか

コカインでもヘロインでも他の薬物でも、それとの関係を単純に楽しむ奴もいる、特にヘロインはそういう奴に向いているんだが、

 なんてもっともらしいことを言われると、わからないだけに“ああ、そうなんですか”と納得するしかないわけです。
 こういう描写がいたるところに散りばめられており、最終的には

熱帯の冬のビーチでのフリスビー、これがビーチの快楽の究極だよ、

になるわけです。
 わかるようなぁーわからんような。やっぱりわからんような。文章の雰囲気に丸め込まれてるような。
 “イヤミな文章”と紙一重なような。

村上龍を読んでいて思うこと

 「シリアスな暴力」の描写が多い村上龍の作品は高校生から大学生にかけてよく読んでいました。
 なかでも読売新聞で連載していた『インザ・ミソスープ 』は、新聞が届くのを郵便受けの前で貧乏揺すりしながら毎日待っているくらい大好きでした。

 この作品は主人公ヤザキの独白が、「句点(。)」を使わず「読点(、)」で延々とつなげていく“いつもの”息がながーい文章でつづられていきます。

  なかなか終わらない文章を追っているうちに作品に入り込み、非現実的でリアリティを感じる描写に気持ちが揺さぶられる、いつも村上龍を読んでいて感じることです。

 頭で「理解する」というか、単語の語感と読点で作られるリズムを「感じる」文章な気がします。
 ぼくは読んでいて気持ちが良いです。

 あ、「あとがき」を読んでいるときにこれが三部作の第二部だとわかりました。
 どおりでオチのないまま終わると思ったら。

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Category: 小説 — written by tsujio 09.09.02.(水) 07:52

起きてる?『怪物がめざめる夜』

怪物がめざめる夜 (新潮文庫)

著者/訳者:小林 信彦

出版社:新潮社( 1997-02 )

定価:¥ 500

文庫 ( 282 ページ )

ISBN-10 : 4101158320

ISBN-13 : 9784101158327



情報化社会にひそむ恐怖を描く現代の都市伝説(背表紙より)

これは・・・ゴルスラのような・・・

 『超読書法』を読み、「すごい量の本を読んでる」と感じました。本に対する意見も説得力があり、「なるほど」と思わされる箇所も多かったです。
 
 その、たくさんの本を読み批評している小林信彦の本はきっとおもしろいだろうと思い読みました。

 これは・・・『ゴールデンスランバー』?なんだか雰囲気が似ています。読んでいてなんだか“腑に落ちない”感じも同じです。
 何がオチなのかもよくわからず。

 「情報化社会にひそむ恐怖を描く」とありましたが、どこが「恐い」のかわからない不可解さがいちばん恐かったです。

 他の小説はおもしろいのかなー

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Category: 小説 — written by tsujio 09.08.31.(月) 07:49

『中吊り小説』

中吊り小説 (新潮文庫)

著者/訳者:吉本 ばなな 阿刀田 高 椎名 誠 村松 友視 高橋 源一郎

出版社:新潮社( 1994-12 )

定価:¥ 460

文庫 ( 271 ページ )

ISBN-10 : 4101359113

ISBN-13 : 9784101359113



 JR東日本『Tokyo Train キャンペーン』で中吊りに連載された8編の小説に11編の小説・エッセイを加えて一冊にまとめた本。

バブリーな企画

 すごく金かかってるだろうなと思いました。
 どのくらいの路線で掲載していたかは知りませんが、中吊り広告掲載料と作家に払う原稿料を含めるとかなりの金額になっていたと思われます。

 末ページに「一九九〇年九月から一九九一年九月まで」とあるので、まさにバブルがはじける少し前です。

 読んだことのない作家がたくさん収録されていました。
 なかでも村松友視が個人的にすごくよかったです。
 すごくくだらなくて。
 「この作家を読んでみようリスト」に追加しました。

 椎名誠の『ある日。』もよかったです。
 軽く読めてオチも好きです。

 逆に「こんなの通勤電車で読みたくないな」という男女関係を扱ったものも多いように思いました。
 あさっぱらから“父の愛人が?”なんて読みたくないです。
 
 電車内での気分転換にどうぞ。
 

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Category: 小説 — written by tsujio 09.08.28.(金) 07:54

『照柿』は骨太だった

照柿(上) (講談社文庫)

著者/訳者:高村 薫

出版社:講談社( 2006-08-12 )

定価:¥ 680

Amazon価格:¥ 680

文庫 ( 392 ページ )

ISBN-10 : 406275245X

ISBN-13 : 9784062752459



照柿(下) (講談社文庫)

著者/訳者:高村 薫

出版社:講談社( 2006-08-12 )

定価:¥ 650

Amazon価格:¥ 650

文庫 ( 336 ページ )

ISBN-10 : 406275259X

ISBN-13 : 9784062752596


 『マークスの山』に続く合田刑事第2弾。

高村薫の取材力はすごいんじゃないか

「ドストエフスキーの『罪と罰』のような作品をお願いできませんでしょうか」と作家に注文して書いてもらったのが『照柿』だった

 はじめて読んだ高村薫の作品『黄金を抱いてとべ』は「なんかようわからんなぁ」と思っただけでした。

 この作品もあまり期待せず読み始めましたが、下巻に入る頃から俄然おもしろくなってグイグイ引き込まれました。
工場の描写がきもちいい

 主人公の一人は工場で働いています。金属の「熱処理」工程を担当しているのですが、作業内容の描写が細かい。
 ぜんぜん興味も知識もありませんでしたが、日中でも薄暗く暑い工場内や機械が造る影や油臭さや炎の熱を感じさせる描写はすごいなと思いました。
 取材がスゴイ。

これはもう一人の主人公が属する警察も同じで、よく知らないしここで描かれているうちのどれくらいが真実かはわかりませんが説得力はすごくあります。

ドストエフスキー『罪と罰』と似ているところ

 上巻を読んだ時点では「どこが『罪と罰』なんや」と思いました。類似点は「デキる刑事」が「和製ポルフィーリー」(ポルフィーリーは『罪と罰』に出てくる検事)と呼ばれているだけで、それもなんだか強引な感じでした。

 でも下巻の後半は確かに『罪と罰』してる感じで、『罪と罰』より盛り上がりを感じました。

高村薫の固い文章について

 「?なのだった」と突然挟まれる大仰な語尾と「え?電話で話してるのは“妹”と“妹の亭主”のどっち?」というようなわかりにくい箇所もあります。
 最初はいちいちひっかかって「読みにくいなぁ」と思いましたが、下巻に入る頃には気にならなくなりました。
 固い、男らしい骨太さを感じる文章でした。ゴリゴリしてます。

高村薫のハードカバーと文庫版

 これも『あとがき』にありますが高村薫は文庫版を出す際はおもいっきり手を入れるそうです。作品によってはハードカバー版とまったく別の文庫版が出来上がるそうで。
 下巻の最後のページにも

本書は一九七七年七月に小社より刊行された作品を、大幅改稿し分冊した下巻です

 という断り書きがあるほど。

 『黄金を抱いてとべ』でもう高村薫は読まないだろうなと思っていましたが、この作品を読んでもう一冊読みたくなりました。

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