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通勤で夢中になれる文庫本ブログ
Category: 海外小説 — written by tsujio 09.09.14.(月) 07:54

期待していた『仏陀への道』はどうだったか

仏陀の鏡への道 (創元推理文庫)

著者/訳者:ドン ウィンズロウ

出版社:東京創元社( 1997-03 )

定価:¥ 1,155

Amazon価格:¥ 1,155

文庫 ( 563 ページ )

ISBN-10 : 4488288022

ISBN-13 : 9784488288020



 前作『ストリート・キッズ』の余韻に後押しされ、「はやくはやく」とAmazonの封をあけるのももどかしく読んだ探偵ニール第2弾。

早く読みたいと期待していた

 前作『ストリート・キッズ』を夢中で読んだので、シリーズ第二弾であるこの本もAmazonから届くのが待ち遠しかったです。
 それほど前作の印象が強烈でした。

なかなか物語に入っていけない

 前作のように“ストーリーに引き込まれ夢中でページを繰る”という感覚は無く、“ん?”と疑問に思い我に返ってしまうところや、“ながっ”と感じられずにはいられない数ページに及ぶ状況説明が邪魔をして、なかなか“ストーリーに没頭”する状態に入れませんでした。

中国の政治的・時代的背景の描写が多すぎ

 中国が舞台ですし、ストーリーのバックボーンなので当然ですが、それでも「中国の歴史と問題」の説明ながすぎ。多すぎ。
 中国の問題はそれ自体が独立した問題なので、理解しようと頭が一時停止してしまうことがストーリーに入り込めない原因のひとつだと思います。

力業な登場人物の行動

 「え?なんでそうなるの?」と“欽ちゃん化”してしまう登場人物の行動が多かったです。
 最後まで読むと「ああ、なるほどね」と思うのですが、「そういうことだったのか!!」と疑問が氷解する快感は無く、「そうですか、まぁ辻褄はあってますけど・・・」と強引に説得された残尿感が残ります。

じゃあこの本は面白くないのかというと

 前作ほどでは無いと思いますが、面白いと思いました。
 前述の「中国の解説部分」がなければなぁ。もしくはもうちょっと少なければなぁ。

やっぱりニールは魅力的

 ニールの会話や行動は前作の延長線上にあるので、ある意味「安心して」読むことが出来ました。

解説ながっ

 今まで読んだ中でいちばん長いと思います。
 解説が『第3部』とか、段落になっています。
 読んでいくと、やはり前作『ストリート・キッズ』がすごく注目されていたんだと思いました。
 みんな続編に期待していたんですね。

完結してんのかいっ!

 どうやら探偵ニールシリーズ、全5作で完結しているらしいです。
 なのになぜ全巻出ていないかというと、訳すのが遅れているから。
 どおりで本作の時代が微妙に古いと思ったら。
 わざとそうしてると思ったら違ったんですね。

とりあえず次に期待

 Amazonのブックレビューほど期待はずれではありませんでした。
 とにかく早く次を買って読みたいです。
 

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Category: オススメ本,海外小説 — written by tsujio 09.08.18.(火) 07:49

アイタタ『ミザリー』

ミザリー (文春文庫)

著者/訳者:スティーヴン キング

出版社:文藝春秋( 2008-08-05 )

定価:¥ 1,000

Amazon価格:¥ 1,000

文庫 ( 530 ページ )

ISBN-10 : 4167705656

ISBN-13 : 9784167705657



 1987年発表のサイコスリラー。1990年にロブ・ライナー監督で映画化もされ、主演のキャシー・ベイツがアカデミー主演女優賞を受賞。

キングの描写力がすごい一冊

痛いけどページを繰る手は止まらない

 痛い描写が多く、眉間にシワを寄せながらも続きが気になってグイグイ読んでしまう。そんな本です。
 キングの細かい描写で、主人公が監禁されている部屋が目に浮かぶよう。

 作家の主人公を監禁するもう1人の主人公、イカれたファンのアニーも実在する人物のようにリアルです。このリアルさが恐い。
 人間は恐いなぁ。
 また、その細かい描写のせいで痛い場面はホントに痛いです。

 伏線が張られたストーリーも説得力があり、“ええっ、そうだったの!?”という「ゾッ」とする展開の怖さもあります。

 キングが主人公に語らせる「小説の書き方」も興味深いです。キングはローレンス・ブロックのように「小説の書き方」の本は出さないんでしょうか。
 いづれ書きそうですが。

 現在のストーカーをもっとエスカレートさせたような登場人物は、20年以上前の作品という古さをまったく感じさせません。
 ぼくは和歌山カレー事件の林眞須美(はやし ますみ)死刑囚を強烈に連想しました。
 おもな登場人物はふたりだけ。キングってすごいな。

 とても痛いけど、とても面白い一冊です。

 オススメ。

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Category: 海外小説 — written by tsujio 09.08.04.(火) 07:00

『罪と罰』を読んでわかった5つのことプラス1

罪と罰〈上〉 (新潮文庫)

著者/訳者:ドストエフスキー

出版社:新潮社( 1987-06 )

定価:¥ 780

Amazon価格:¥ 780

文庫 ( 488 ページ )

ISBN-10 : 4102010211

ISBN-13 : 9784102010211



罪と罰〈下〉 (新潮文庫)

著者/訳者:ドストエフスキー

出版社:新潮社( 1987-06 )

定価:¥ 820

Amazon価格:¥ 820

文庫 ( 601 ページ )

ISBN-10 : 410201022X

ISBN-13 : 9784102010228



 ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーが1866年に発表した長編小説。

カラマーゾフの兄弟』、『白痴』、『悪霊』、『未成年』と並ぶ、後期五大長編小説の一つでもある。(Wikipedia)

読み切ったぜ『罪と罰』

1.本が立ちます

 『超読書法』を読んで“名作名作、名作を読もう”と息巻いていたのと、目前に迫ったスペイン旅行がアムステルダムで鬼の7時間トランジット(ひとりぼっち)だったので買いました。
 上・下巻あわせてほぼ1000ページで読み応え充分。

2.意外とふつうに読める

 100年以上前の作品ですし、ロシア作家の本は初めてです。
 さぞ違和感があるだろうと思いましたが、いざ読み始めてみると意外や意外すんなり読めました。
 

3.『人間失格』と『罪と罰』と『DETH NOTE』の共通性

 読み始めてすぐ頭に浮かんだのが「『人間失格』で、主人公ラスコーリニコフからはマンガ『DEATH NOTE』の夜神月(やがみ ライト)を連想しました。
 人間失格の表紙を『DEATH NOTE』の小畑健が描いたのもそういうことでしょうか。
 『罪と罰』の表紙も小畑健が描くと売れるかも。

 『DEATH NOTE』の「L」(エル)とおなじ役割をする人物も出てきて、主人公との対決は読み応えがあります。

 ともかく、若者の悩みの本質は古今東西みな同じなんだなと思った次第です。
 『人間失格』に共感する現在の若者が多いように、『罪と罰』に共感する若者も多いんじゃないでしょうか。
 人間の弱さというか苦悩というか。

4.名前が絡まりもつれて固むすび

 主人公の名前は「ラスコーリニコフ」です。でもおかんや友達が呼ぶときは「ロージャ」です。また手紙の中では「ロジオン・ロマーノヴィチ」と書かれ通貨の単位は「ルーブリ」「コペイカ」ですし「1アールシン」は「約70センチ」だということを忘れてはいけません。「アファナーシィ・イワーノヴィチ・ワフルーシン」でひとりの名前です覚悟してください。

 「ロージャ」が「ロジオン」の愛称・呼称だというのはわかります。でも「ラスコーリニコフ」はぜんぜん違うやん。どっから出てきた。
 たとえ「ロジオン・ロマーノヴィチ・ラスコーリニコフ」がフルネームだとしても文中では名前をひとつに統一してくださいお願いします。

 この名前のバリエーションは登場人物、友人や家族にも当然あります。
 だれがだれやら。
 確認のためしょっちゅう前に戻るので、ふつうの3倍はページを繰ったと思います。

 海外作品には必須の「登場人物一覧」が表紙裏にないのが致命的です(新潮文庫)。ま、一覧だけで数ページ要りそうですが。

5.トーンはあくまで重く暗く

 ここでいうトーンは作品の雰囲気です。
 主人公の暮らしは貧しく、石造りの街に質素な家具や服装と相まってふるい白黒映画を観ている感じでした。
 いつも夕方か夜の感じで“ロシアの重い冬”を感じます。
 それが“殺人を起こしてしまった主人公の苦悩”にぴったりです。

(6).オードリー春日との関係性

 オードリー春日がする「へっ!」はここから取ったのか?というくらい登場人物が「へ!へ!」と笑います。
 ロシアに行ったら「へ!」と笑ってください。
 

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Category: 海外小説 — written by tsujio 09.08.03.(月) 07:00

『トム・ソーヤーの冒険』と欧米人

トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)

著者/訳者:マーク・トウェイン

出版社:新潮社( 1953-10-30 )

定価:¥ 580

Amazon価格:¥ 580

文庫 ( 396 ページ )

ISBN-10 : 4102106014

ISBN-13 : 9784102106013



 マーク・トゥエイン作1876年発表の世界的名作。舞台はさらに3?40年前の設定。主人公トム・ソーヤーと友達ハックルベリー・フィンの冒険物語。 

 『世界名作劇場』でアニメ化され放送もされていました。
 自分がこどもの頃はそんなに“他人の傷を見たかった”記憶はありません。しかし作品中では

 「いうことをきいたら、足の指の傷も見せてやる」

 というように、「傷を見せること」が「ご褒美」として書かれています。同じような描写は何度か出てきます。
 傷ではありませんが、『スタンドバイ・ミー』の設定も「死体を見に行く」ことでした。
 欧米人のこどもはそんなに他人の傷に興味があるんでしょうか?

 大学時代、多くの留学生が雨なのに傘をさしていなかったことを思い出しました。
 両方ともすごく「動物」を連想します。肉食獣ってかんじ。

 この時代はそうだったんでしょうが、黒人が思いっきり「奴隷」として描かれています。

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Category: 海外小説 — written by tsujio 09.07.31.(金) 07:00

キングが書く“ふつう”の小説『スタンド・バイ・ミー』

スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

著者/訳者:スティーヴン・キング Stephen King 山田 順子

出版社:新潮社( 1987-03-25 )

定価:¥ 780

Amazon価格:¥ 780

文庫 ( 434 ページ )

ISBN-10 : 4102193057

ISBN-13 : 9784102193051



 4つの中編を集めた『Different Seasons』から「秋・冬」2作を収録したのが本書。
 おなじみ『スタンド・バイ・ミー』は「秋編」で原題は『The Body』(死体)、「冬編」として『マンハッタンの奇譚クラブ』(原題『The Breathing Method』)が収録されています。

スタンド・バイ・ミー

 ちゃ?ちゃー♪ちゃらちゃ?ちゃー♪のベン・E・キングでお馴染み映画版『スタンド・バイ・ミー』。
 何度も再放送されていますが通して観たことはなく、“少年たちの甘酸っぱい話なんだろうな”ぐらいに思っていました。
 線路走ったり。

 映画版は知りませんが、小説版は「作家になった主人公が当時の冒険を振り返る」という形で書かれています。
 キングが書くホラー作品(とは思わないですが適当な言葉がみつかりません)以外の小説は面白いのかと興味がありました。
 読み終えましたが“『IT』や『ミザリー』、『シャイニング』、『ダークハーフ』のような「ホラー作品」のほうが好き”です。

 こういう小説は“自分が過ごした少年時代のノスタルジー”が思い出されて“いいなぁ”となるんでしょうが、国が違えばノスタルジーも違うということで日本人のぼくには共感できない部分も多かったです。
 映画は映像で「アメリカのノスタルジー」を見せてくれるので日本人でも共感できヒットもしたんじゃないでしょうか。

 キングは場面や人物の細部を(独特の形容で)細かく書くので、場面や登場人物をイメージしやすいです。
 この作品でも頭の中にリアルな(思いこみの)情景が浮かぶのですが、異常な、超常的なイメージをリアルに浮かばせてくれるほうが面白いです。
 『マンハッタンの奇譚クラブ』のほうがキングっぽい感じ。

 読後感も「ふーん」という感じで、中編という長さもありますが「がっつり読んだ」満足感はなかったです。

 四人いる少年の中でも、ドラッグのオーバードーズで死んだ故リバーフェニックスが演じたクリスがすごく大人に描かれていて魅力的です。

マンハッタンの奇譚クラブ

 作品全体が石造りのヨーロッパな感じです。ゴシックというか。
 冬編なので当たり前ですが、「ヨーロッパの冬」という重たい雰囲気です。舞台はニューヨークですが。

 このクラブで語られる話とこのクラブ自体が作品のテーマです。

 “『スタンド・バイ・ミー』のおまけ作品”くらいにしか思っていませんでしたが、意外や意外、楽しめました。

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