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通勤で夢中になれる文庫本ブログ
Category: 海外小説 — written by tsujio 09.11.26.(木) 07:49

S.キングの息子、ジョー・ヒルの『ハートシェイプト・ボックス』

ハートシェイプト・ボックス (小学館文庫)

著者/訳者:ジョー ヒル

出版社:小学館( 2007-12-04 )

定価:¥ 860

Amazon価格:¥ 860

文庫 ( 617 ページ )

ISBN-10 : 4094081305

ISBN-13 : 9784094081305



デビュー作『20世紀の幽霊たち』で、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞を受賞。スティーブン・キングの息子。

やっぱりお父ちゃんが好き

 
 「スティーブン・キング研究序説 ココログ分室」で「キングに息子がいて、それも同じホラーを書く作家だ」
と知り、最近キングばっかり読んでいる僕はさっそくAmazonのボタンを“ポチっとな”しました。

読み進めるのがしんどい本でした

 ストーリー云々よりも「よくわからない形容」と「まわりくどい描写」がブレーキです。

 白石 朗さんの訳が読みにくいのかと思いましたが、明らかに原文のせいだと感じました。
 とにかく形容が長いです。文章を読み終わっても「それどういうことやねんっ」とイラっとします。それに「そのまんますぎ」ると思います。

 『ゴールデンスランバー』を読んでいたときの辛さが思い出されました。
 国は違えど「読みにくさ」の質は似ていると思います。

心に響かない

 ホラー小説なので設定が突飛なのは判りますが、それでもキングにあるような「リアリティ」が無いように思います。
 キングは細かいところをリアルに感じるのでどんなにおかしな設定でも内容に惹きつけられますが、この本は「作り話」感を強く感じるため話に入っていきにくいです。

 「これはキングの息子としてある程度裕福に育ったからじゃないの?」と邪推してしまいます。
 飛躍して「あんま苦労した経験がないから実体験に基づくリアルな描写が無い」とまで思ってしまいました。

 あ、作者がヘヴィメタルが大好きなのは伝わりました。
 しつこいくらい。

 あとAmazonでの評価も高いです。
 レビュー2件だけですけど。

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Category: エッセイ,オススメ本 — written by tsujio 09.10.23.(金) 07:52

寝る前にパラパラする幸せ『河童が覗いたヨーロッパ』

河童が覗いたヨーロッパ (新潮文庫)

著者/訳者:妹尾 河童

出版社:新潮社( 1983-07 )

定価:¥ 620

Amazon価格:¥ 620

文庫 ( 302 ページ )

ISBN-10 : 4101311013

ISBN-13 : 9784101311012



 1年間で歩いた国は22カ国。泊まった部屋は115室。舞台美術家の著者が、心優しい目と旺盛なる好奇心で、ノート片手に覗いた“手描き”のヨーロッパ。(裏表紙より)

大人の絵本

 晩ご飯を食べてお酒も呑み、お風呂に入って身体ぽかぽか“さぁ寝よう”、そんなときに2?3ページ読むと自然にまぶたが降りてくる。

 15年前、高校生のとき買ったこの本を最近引っ張り出し、そんな幸せな日々を過ごしています。
 
 Google Earthで簡単に世界旅行が疑似体験出来るようになりましたが、妹尾河童さんが実際に見て体験した“大人の絵本”は発行から31年経った今も魅力的です。

真上から部屋を見下ろした絵を観るだけで楽しい

 泊まったホテルの部屋がスケッチで描かれ、その横にこれまた手書きで解説や感想が書かれています。
 河童さんのノートが友人の間をまわり評判が評判を呼び出版された、というエピソードも頷けます。

 これを出版しないのは勿体ない。

詳細なスケッチもさることながら

 絵を見て楽しいのはもちろんですが、文章も河童さんの飾らない言葉で綴られておりスルスル読めます。
 そのリズムの良さとスケッチが、睡眠を呼び込んでくれます。

お国柄の違いも

「日本人は知らない人同士になるとエゴイストになる」
 部屋のスケッチのみに留まらず、各国のちがいにも触れられています
 その中で、パリの日本人旅行者についてのものがあります。

筆者が実際にパリで見たスウィングドアの光景

 “日本人旅行者はスウィングドアをあけて自分が通るとそのまま行ってしまう、後ろにいた人は跳ね返ってきたドアが顔に当たりそうになりびっくりする”

 ぼくは電車通勤をしていますが、スウィングドアを通った後振り返りもしない人は毎日見ます。
 また、駅で足を踏まれたことは何度もあります。

他人にはエゴイストになる日本人

 それはおっちゃんだったりおばちゃんだったり若い男性だったり女性だったりしますが、「あ、すいません」「あ、ゴメン」のひと言はありません。

 殆どの人が他人の足を踏んでも“知らん顔”です。

 電車の中でデカイ声で携帯を使っているのは若い人だけじゃありません。
 おじさんもおばさんも唾を飛ばし、握りしめた携帯に怒鳴っています。

 そうか、ああいう人たちは「あかの他人に対してエゴイストになる日本人の典型」なんですね。

『覗いた』シリーズ

 河童さんは『仕事場』やら『インド』やら『日本』やら『トイレ』やら、いろんなものを覗いて廻っています。
 なかでも海外に興味のある人に本書はオススメです。

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Category: オススメ本,ノンフィクション — written by tsujio 09.10.21.(水) 07:05

『深夜特急』でいこう!

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

著者/訳者:沢木 耕太郎

出版社:新潮社( 1994-03 )

定価:¥ 420

Amazon価格:¥ 420

文庫 ( 238 ページ )

ISBN-10 : 4101235058

ISBN-13 : 9784101235059



 インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く―。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。(背表紙より)

全6冊あるしあわせ

 読み終わり、ペラペラと目次のページをめくると『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』から『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』まで残り5冊あることが判明。

 「良かった、まだ読める」
 と“夏休みの終わりまでまだけっこうある”ことがわかった小学生くらい嬉しかったです。

大沢たかお主演のドラマもあるのは知っていましたが

 いつもの如く

 「有名過ぎる作品は読むのがおっくうになる病」

 が発病していましたが、

 「有名になるにはそれなりの理由がある」

 ワクチンによって1ページ目をめくることが出来たのでした。 

 インドを出発するシーンから始まり、香港・マカオを旅したシーンに戻るという“前に進んで始めに戻る”構成で、読み終わったあとの“早く続きを読みたい感”を強めています。

香港の雑踏が目に浮かぶよう

 沢木耕太郎が観るもの、食べるもの、話す人、筆者の目線を借りて街中を歩き回っている感覚です。
 
 自分ではムリであろうきったないホテルに泊まったり、何が入っているかわからないものを食べたり。
 本書を読むことによって疑似体験出来ます。
 
 一所に立ち止まらずに、常に動き続けている(場面が変わる)ので、どんどん引き込まれます。
 とくにマカオでギャンブルをするシーンは臨場感に溢れており、ドキドキしながらページを繰るスピードも上がります。

『あとがき』の対談集も興味深い

 山口文憲との対談集で、海外の話が中心ですが、“そうだそうだ!”と思った話がひとつありました。

ドロップ・インとは?

 脇道にそれること、あるいは辞めてしまう「ドロップ・アウト」という言葉は一般的ですが、一旦外れた道からふたたび元のルートに戻るドロップ・インという言葉ははじめて知りました。

 本書では

今でも、社会に出ていった人が四十、五十になってもう一度大学に入り直すというのはあるし、もちろんそれはそれで素晴らしいことだと思うけど、二十五、六歳とか三十いくつといったレベルの人が一度外に出て行って、もう一度戻れるというのがあるとありがたいよね。

 と語られています。

○ 中学→高校受験→高校→大学受験→就職活動→就職

 という一貫した流れには社会との比較で自分を理解する期間が含まれていないことに疑問があったので、ドロップ・インというシステムが欧米と同じように日本でも一般的になり、選択肢が増えればと思います。

平野甲賀の装幀がいい

 椎名誠の本を多く手がけている平野甲賀。
 好きなデザイナーですが、本書もそうでした。
 雰囲気が良いですよね。

 ともあれ、続きを読むのが楽しみです。

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Category: 小説 — written by tsujio 09.10.20.(火) 06:00

人間関係が『卍』固め

卍 (新潮文庫)

著者/訳者:谷崎 潤一郎

出版社:新潮社( 1951-12-12 )

定価:¥ 460

Amazon価格:¥ 460

文庫 ( 199 ページ )

ISBN-10 : 4101005087

ISBN-13 : 9784101005089



 大阪弁の語感を文字に表そうと試みた筆者が、女性の同性愛という特異な題材を女主人公の独白体で綴った野心的な長編。

え!?同性愛の話?昭和初期に?!

 “さすがやなぁータニジュンは”と読み進めていくと単なるレズ話に非ず。
 
 『痴人の愛』でもそうでしたが、中盤から終盤にかけての盛り上がりは一気で、“こんな内容をこんな顔して書いてんねや”と思うと“おかしい”というより“鬼気迫り”ます。

何度も映像化されているようです

 いろんな時代、いろんな出演者で映像化されているようですが、最初に映画化されたのはこの作品のようです。

卍(まんじ) [DVD]

販売元:角川エンタテインメント( 2007-11-22 )

定価:¥ 3,990

Amazon価格:¥ 2,980

時間:91 分

1 枚組 ( DVD )



 出演は船越英一郎のお父さん船越英二、若き日の岸田今日子など。
 パッケージ左が岸田今日子か。
 きれいですね。
 おばあちゃんバージョンしか知らんからなー。

谷崎潤一郎が描く女性は気が強い

 『痴人の愛』のナオミ、『春琴抄』の春琴、『細雪』の妙子、どれもこれも気が強く、サディスティックと言ってもいいくらい。
 とくに春琴はドSです。

 本作の主人公園子も春琴ほどではありませんが、同じく気が強い。
 夫と言い争う場面では、気が強く口が達者なのにウンザリしました。

 タニジュンはそういう女性が好みなのでしょうか。 

はんなりした大阪弁がつくるやわらかい雰囲気

 同じ絵画教室に通う女性と同性愛になる人妻のモノローグが、

「伺いましたのんですけど」(伺ったのですけど)
「云やはった」(おっしゃった)
「えらいひつこい」(とてもしつこい)
「帰りはりますよって」(帰りますので)

 等の船場言葉で語られており、作品を“はんなりした”やわらかな雰囲気にしています。

船場言葉とは

 作品の印象を大きくしている船場ことば。

 「昔の大阪で上流階級が使っていた、はんなりした語感の大阪弁」、のようですが、現在の大阪弁とは、かなり、特に語尾が違うように感じます。

 谷崎潤一郎が東京から関西に移住してすぐ、作品に船場言葉を多用しているのをみると、谷崎潤一郎は“とても耳が良いんだな”と思います。

ぼくが考える卍キャスト

 最後に、読んでいて頭にイメージした配役です。

  • 園子(主人公)・・・田中美里
  • 光子(園子の恋人)・・・真矢みき
  • 柿内(園子の夫)・・・石黒賢
  • 綿貫(光子の恋人)・・・及川光博
  • お梅どん(お手伝い)・・・森久美子

 なんで真矢みきなのかはわかりませんが、石黒賢と森久美子はぴったりな気がします。
 ミッチーは“演じて欲しい”という希望です。

    

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Category: 海外小説 — written by tsujio 09.10.16.(金) 06:00

同時多発テロを予言?『ブラックサンデー』

ブラックサンデー (新潮文庫)

著者/訳者:トマス ハリス

出版社:新潮社( 1979-03 )

定価:¥ 860

文庫 ( 548 ページ )

ISBN-10 : 4102167013

ISBN-13 : 9784102167014



 大統領と8万人の観客をスーパー・ボウルが行われる競技場ごと爆破する?パレスチナ・ゲリラにFBIとイスラエル秘密諜報機関が立ち向かう。
 超大型のスパイ小説

9.11テロを予言した内容

 『レッド・ドラゴン』『羊たちの沈黙』でお馴染みトマス・ハリスのデビュー作。
 2001年9月のアメリカ同時多発テロを連想せずにいられませんが、これは1975年の作品です。

アラブとアメリカとテロ

 アラブ人がアメリカの巨大建造物を標的にテロを計画する、その内容はまるで9.11テロを予言したかのようです。

 今も昔もアメリカとアラブは仲悪かったんでしょうか。
 

『ジャッカルの日』との比較してみる

 なんで比べるのかというと、“当時の世界情勢が絡んだサスペンス”という一点のみです。
 ちなみに『ジャッカルの日』の方が夢中で読みました

 『ジャッカルの日』は主人公が見ている視界の中を進んでいく感じ、『ブラックサンデー』は右斜め上空から全体を見下ろしているという感じです。
 全体が見えすぎてるというか。

 これまたAmazonレビューは高評価(3人だけですが)ですが、ぼくはどうも消化不良気味なのでした。

 登場人物に感情移入できないというか、魅力を感じられませんでした。

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